安心問答−浄土真宗の信心について−

浄土真宗の信心についての問答

アシスタント「なぜただ今救われないのかと思います。」会長「煩悩を恐れるまで進んでいないからだ」(親鸞会12月18日二千畳座談会より。)

前回のエントリーの続きです。
高森顕徹会長の二河白道の譬えは、罪悪に苦しんだものでないと弥陀の喚び声は届かないというものです。本願を疑う心と罪悪観を混同し、アシスタントの真面目な質問を、「罪悪に恐れていないからだ」と一蹴します。

会長「阿弥陀仏の本願を疑う心とは?罪悪に苦しんでいる心なんです。こんな罪悪を作っているものを阿弥陀仏は助けてくれないのだろうか?と本願を疑っている。
水火の難に堕することを畏れている。そういうものに、畏れざれの弥陀の呼び声が聞こえる。だから罪悪に恐れていないものに畏れざれと仰るはずがない。いや仰ったって「聞こえません」関係ないんです。

二河白道の譬えで善導大師は、阿弥陀仏の呼び声が聞こえるのは罪悪に畏れているものに弥陀の呼び声が聞こえるのだと言われている。それが決勝点。そこまで何に気をつけたらいいのかということを今日の質問で言われている。」
(略)
会長「煩悩がなくならないけど、少しくらいはという心はないか?」
アシスタントI氏「はい。あります。欲を抑えて、腹を立てないようにしないと、とてもこのままでは助からないだろうと思います。」

会長「それを邪見憍慢衆生という。だから直ちに来たれと言っている。」
(中略)
アシスタントI氏「そのまま助けるとおっしゃっているのですから、それならもう今助かるはずなのに、まだ助からないということは、やはりこのままではダメなのではないかと思いまいして」
(会場笑い)
会長「それが自力の心だ」
アシスタントI氏「やはり欲や怒りを減らして、罪悪を作らないようにしないとこのままでは助からないのではないかという心が出てきます」
会長「そう。この白道を進んでいくとその心が問題になっていく。それが水火の難に堕することを問題にすること。そういうものに畏れざれと仰る。
それは観念の遊戯では通れないのですから、あの白道を善導大師の言うとおり進まないと、畏れません、聞こえません。水火の難に堕することと畏れざれと聞こえない。畏れていなんだもの。畏れていますか?」
アシスタントI「本心では畏れていません」
(会場笑い)
会長「本心どころか、なんも恐れていない。堕することを恐れている?地獄へ堕ちることを恐れている?」
アシスタントI氏「はい、堕することを畏れてはいません。」
会長「堕することを畏れているものに、畏れざれと言う呼び声が聞こえる。」
(平成23年12月18日親鸞会館二千畳座談会より)

ここでアシスタントは「なぜただ今救われないのか?」と真面目な質問を会長に投げかけています。それに対する会長の返事は「水火の難に畏れているものに畏れざれと仰るのだ。君は畏れているのか?」で終了です。

高森顕徹会長に代わってアシススタントI氏の疑問に答えるなら、「高森会長から間違った本願を聞かされているから」です。

特に今回取り上げた所では、阿弥陀仏の本願は「水火の難に畏れている人」しか救われないことになってしまいます。

また西の岸の上に、人ありて喚ばひていはく、〈なんぢ一心に正念にしてただちに来れ、われよくなんぢを護らん。すべて水火の難に堕せんことを畏れざれ〉と。(教行信証信巻・浄土真宗聖典(註釈版)P224)

ここで「すべて水火の難に堕せんことを畏れざれ」とおっしゃっているのは「われよくなんぢを護らん。」の内容を、明らかにされた言葉です。
「われよくなんぢを護らん」については、愚禿鈔に以下のように言われています。

「我」の言は、尽十方無礙光如来なり、不可思議光仏なり。「能」の言は、不堪に対するなり、疑心の人なり。「護」の言は、阿弥陀仏果成の正意を顕すなり、また摂取不捨を形すの貌なり、すなはちこれ現生護念なり。(愚禿鈔下巻)

阿弥陀仏が、本願力を疑っている人に対して、若不生者不取正覚の本願が成就しているのだから必ず救ってみせるとよびつづけておられるお言葉です。阿弥陀仏が、必ず摂取不捨されるから、現生護念されるのだと言われています。
「すべて水火の難に堕せんことを畏れざれ」は、上記の内容をより強く強調されたものです。必ず救うから心配するな、大丈夫だと、よびかけられているものです。
本願を疑うなということであって、「水火の難に堕することにまず畏れよ」ではありません。

二河白道の譬えに出てくるこの喚び声は、阿弥陀仏の第十八願をあらわされたものです。本願には、「罪悪で苦しんだ経験のある人だけ助ける」とはありません。
阿弥陀仏は、どんな人もただ今救うとよびかけられています。罪悪で苦しんでいないものはまだダメだとは仰っていません。


座談会に参加してこのエントリーを読まれた人は、座談会で会長自らが言っていますように「群賊悪獣悪知識に気をつけろ」ですから、悪知識から離れるのがまず大事です。