阿弥陀様に後生をおまかせしようとしたら怠惰になり、これではいけないと一生懸命になったら今度は色々と計らってしまい | Peing -質問箱-
Peing-質問箱-に頂いた質問です。
続きの質問も頂きました。
『(阿弥陀様に後生を)まかせてみて下さい』と言われれば、まず自分の後生があるかないかすらわからないし、阿弥陀様の | Peing -質問箱-
上記二つについて、加えて書きます。
まず、最初の方の質問についてですが、
「阿弥陀様に後生をおまかせしようと思ったら怠惰になり、これではいけないと一生懸命になったら今度は色々と計らってしまいます。」
とのことでした。
質問された方の理解として、「まかせることに少々怠惰に流れている」という印象があり、さりとて「一生懸命頑張るのは自力だからよくないのでは」という迷いがあるのだと思います。
こう考えるのもよく分かります。私も以前同じようなことを考えたことがあります。「阿弥陀仏をたのむ」というのが、ふわっとしてよく分からないので「何もしないこと」というくらいの理解でした。そうなると確かに、家でごろごろ寝ているようなイメージがあります。それよりは、あちこち足を運んで真剣に聴聞をして、それ以外の時間は仏教の本を読める限り読んで、さらに念仏するという方がよさそうに見えます。しかし、その一方自力を重ねているだけではないか、それでは「自力かなわで流転せり」とも聞いたことがあるから、これで助かるのだろうかというものでした。
ではどうしてそのような考え方になるのかと言えば質問された文章に「どう求道すればよろしいでしょうか？」と最後に書かれた「求道」という考えがあるからです。
浄土真宗では、「求道」ということをあまりいいません。それはなぜかと言えば親鸞聖人の書かれたものに出てこないからです。
『浄土真宗聖典』オンライン検索 | 浄土真宗本願寺派総合研究所
こちらで検索されると分かりますが、少なくとも浄土真宗聖典註釈版にある親鸞聖人の書かれたものには「求道」の言葉はありません。「道」という言葉でいえば「仏道」「白道」がありますが、ほとんど「求道」の意味として使われていません。
では、なぜ「求道」という言葉を使われないのかと言えば、阿弥陀仏の救いと合わない言葉だからです。
「求道」というと、自ら決意し自ら求め道を進み、そして求めているところに到達するという意味になります。加えて言うと、求めているものと自分の間に長い道があり、そこを自分で進んでいかないと到達しないように思います。
それに対して阿弥陀仏の救いは、長い道を通った先にあるのではなく、阿弥陀仏の方からすでに呼びかけ下さっています。
二河白道の喩え話では、このように言われています。
東の岸にたちまちに人の勧むる声を聞く、〈きみただ決定してこの道を尋ねて行け。かならず死の難なけん。もし住まらばすなはち死せん〉と。
https://bit.ly/3hn5Yr8
また西の岸の上に、人ありて喚ばひていはく、〈なんぢ一心に正念にしてただちに来れ、われよくなんぢを護らん。すべて水火の難に堕せんことを畏れざれ〉と。（教行信証信巻・浄土真宗聖典註釈版P224）
東の岸の人とは、お釈迦さまのことです。お釈迦さまは私に「この道を行け」と言われます。その「この道」というのが白道です。しかし、この白道は阿弥陀仏（西の岸の人）が「汝一心正念にしてただちに来たれ」とよびかけられる南無阿弥陀仏の道です。
ですから、この道は私が信じ、私が自分の力で進んで行かねば行くべきところに到達できない道ではなく、阿弥陀仏の方から差し向けられている道であり、その白道に乗れば浄土へと阿弥陀仏の力によって往生させて頂く道です。
そのため質問の「どう求道すれば」という質問ではなく、白道に乗るか乗らないかという問題になります。
それには阿弥陀仏の呼びかけを聞くか聞かないかという問題になるので、怠惰とか一生懸命であるかということは問題になりません。
それに関連して２つめの質問について書きます。
「まず自分の後生があるかないかすらわからないし、阿弥陀様の存在すら怪しんでいる、こんな漠然としたことでよいのかと思ってしまいますが」
とのことですが、最初の質問が今までのことを振り返ってみてのものだったのに対して、未来のことを見てのものだと思います。
過去のことや未来の事は一端切り離して、断ち切ってみて下さい。先ほどの二河白道の喩えでも、東の岸の人、西の岸の人が勧め呼びかけているのは、いまこの瞬間のことです。いまこの瞬間に呼びかけられている「汝一心正念にしてただちに来たれ」の呼びかけと「きみただ決定してこの道を尋ねて行け」のお勧めを、そのまま聞き入れて下さい。
それが現在の南無阿弥陀仏です。南無阿弥陀仏をそのように称え聞いて下さい。ただ今救われます。
