安心問答−浄土真宗の信心について−

浄土真宗の信心についての問答

真宗凋落の原因は歎異抄の誤読という親鸞会の歴史観について思うこと

http://shinranshonin.hp.infoseek.co.jp/group/100zennosusume.htmlという記事を以前読みました。
親鸞会にいたころに、今日の浄土真宗が葬式仏教法事仏教になってしまった理由として、以下のような事を聞いてきました。

  1. 明治時代に歎異抄が広まった。
  2. 歎異抄の悪人正機を読み誤った
  3. それにより明治以降、善を勧めなくなった。
  4. そのため布教する方も、聞く方も意欲もなくなり、真宗は衰退した。

これがいわゆる親鸞会の中の真宗史観です。

先日、代々寺の総代をされている方から戦前の寺の様子をお聞きし、直接的な原因は、悪人正機の読み誤りとはいえないのではないかと思いましたので、そのことを書きます。
以下、その方から聞いた話。

戦争が終わるまでは、多くの寺の経営は、門徒の方からの田地の寄進を受けその農地を小作人を使って耕すことによって成り立っていました。寺の多くは、昔で言う地主でした。私の家の古い記録にも、田んぼ何反寄進したという記録が残っています。
ところが、戦争がおわりGHQの農地解放政策によって、小作人を使った農業の経営が出来なくなり、それまでの収入源がなくなった寺は、幼稚園を経営したり、公務員や、教師と言った兼業をするようになったんです。
歴史のこういう一面は教科書には載らないんです。

時代のある時点で、急に寺での布教内容が変化して、話を聞きに来る人がいなくなったという見方は非常に偏っているように思います。

上記の話を伺って、現在の浄土真宗の現状を別の側面から見てみると、以下のようになります。

  1. 戦前の寺の経営は、小作経営によりなりたっていた。
  2. そのため、法話、説教だけで成り立つ寺は少なかった。
  3. 戦後、小作経営による寺の経営はできなくなった。
  4. 収入源として、幼稚園経営する寺や、教師、公務員になる住職が増えた。
  5. 結果として、門徒の方を教化する時間が戦前に比べて激減する寺が増え、現在に至る。
  6. 葬式や法事が主な収入源となる。

これは経営的な面でみた場合の見方ですから、これだけが原因というわけではありません。

ただ、浄土真宗の教えが今日の人にとってみれば、少し遠い存在になってしまっているのは残念なことです。
なんとか現在の人が聞いて、分かるように伝えなければならないと思っております。