安心問答−浄土真宗の信心について−

浄土真宗の信心についての問答

罪とは正確には何でしょうか?親鸞聖人は、罪、悪について具体的にどのように教えておられるのでしょうか。(超初心者さんのコメントより)

超初心者 2014/07/01 08:24
罪とは正確には何でしょうか?親鸞聖人は、罪、悪について具体的にどのように教えておられるのでしょうか。

http://d.hatena.ne.jp/yamamoya/20140621/1403321354#c1404170658


浄土真宗辞典で、罪・悪について引くとこの二つはほぼ同じ意味の言葉だとわかります。

つみ 罪
苦の果報をまねく行為(業)のことで、道理に反する行為や戒律を犯すことをいう。罪業ともいい、悪なる行為であるから罪悪ともいう。十悪、五逆などがある。(浄土真宗辞典

あく 悪
1 道理に背くこと。
2 現世や来世において苦の報いを招く行為、悪業のこと→十悪(浄土真宗辞典


そこで、罪・悪について親鸞聖人が具体的にいわれているのは、ああさんのコメントにも紹介されていた愚禿鈔がその一つです。

また悪機について七種あり。
一には十悪、        二には四重、
三には破見、        四には破戒、
五には五逆、        六には謗法、
七には闡提なり。 (愚禿鈔)


また、五逆、謗法については本願文に「唯除五逆誹謗正法」とあるので、教行信証にそれに関係した部分は多くあります。


五逆罪について

親鸞聖人は、教行信証信巻に以下の文章を引文されています。

五逆といふは(往生十因)、「もし淄州によるに五逆に二つあり。
一つには三乗の五逆なり。いはく、一つにはことさらに思うて父を殺す、
二つにはことさらに思うて母を殺す、三つにはことさらに思うて羅漢を殺す、
四つには倒見して和合僧を破す、五つには悪心をもつて仏身より血を出す。(教行信証信巻より)

五逆罪には二つあり三乗(小乗)の五逆と大乗の五逆があります。しかし、一般に五逆罪と言えば上記にあげた小乗の五逆をいいます。なぜなら、大乗の五逆には、謗法罪が含まれているからだと思われます。


五逆罪は、読んでの通りですが

1.殺父。父を殺すこと。2.殺母。母を殺すこと。3,殺羅漢。阿羅漢を殺すこと。4,破和合僧。教団の和合一致を破壊し、分裂させること。5.出仏身血。仏の身体を傷つけて出血させること。(浄土真宗辞典

ということです。無間地獄へ堕ちる業因なので、五無間業、五無間罪とも言います。


謗法罪について

謗法罪とはなにかについて、曇鸞大師は浄土論註に書いておられます。それを親鸞聖人は教行信証に引文されています。

問うていはく、なんらの相か、これ誹謗正法なるやと。
答へていはく、もし無仏・無仏法・無菩薩・無菩薩法といはん。かくのごときらの見をもつて、もしは心にみづから解り、もしは他に従ひてその心を受けて決定するを、みな誹謗正法と名づくと。(教行信証信巻末より)

http://goo.gl/B3FwRj

どういうものを謗法罪というのかと言えば、仏も仏の法も、菩薩も菩薩の法もないのだという人です。また、そういう考えを自らおこしたり、またそう主張する人の考えを聞いて、自分もその通りと思うのも謗法罪です。


しかし、そのような罪をつくっている悪人をも救ってくださるのが阿弥陀仏の本願力であると親鸞聖人は教えておられます。

ここをもつて、いま大聖(釈尊)の真説によるに、難化の三機、難治の三病は、大悲の弘誓を憑み、利他の信海に帰すれば、これを矜哀して治す、これを憐憫して療したまふ。たとへば醍醐の妙薬の、一切の病を療するがごとし。濁世の庶類、穢悪の群生、金剛不壊の真心を求念すべし。本願醍醐の妙薬を執持すべきなりと、知るべし。(教行信証信巻末より)

http://goo.gl/N7IkiA

ここで難化の三機、難治の三病と言われたのは、救われがたい人であり、治しがたい病気のことで、五逆、謗法、一闡提のことです。それらのものを阿弥陀仏の本願は救ってくださいます、病気で言えば治してくださるということです。


そこで最後に「濁世の庶類、穢悪の群生、金剛不壊の真心を求念すべし。」と勧めておられます。金剛不壊の真心とは、何かによって砕けたりしない真実信心のことです。
南無阿弥陀仏の仰せをただ今聞いてただ今救われてください。