「南無阿弥陀仏と称えてみますが、何も変わりません。これが信心というものなのでしょうか？」（頂いた質問）
私が「南無阿弥陀仏と称えたこと」が信心ではありません。「仏願の生起本末を聞きて疑心あることなし」が信心です。
又、称えた行為に何か期待をするのは自力の念仏です。
本来、阿弥陀仏の大慈悲は私が見ることも聞くことも出来ないものです。それを、聞いて称えられるようにされたのが、阿弥陀仏の五劫思惟と兆載永劫の修行のご苦労です。 南無阿弥陀仏は私を救うための、善巧方便です。
宝海と申すは、よろづの衆生をきらはず、さはりなくへだてず、みちびきたまふを、大海の水のへだてなきにたとへたまへるなり。
この一如宝海よりかたちをあらはして、法蔵菩薩となのりたまひて、無碍のちかひをおこしたまふをたねとして、阿弥陀仏となりたまふがゆゑに、報身如来と申すなり。これを尽十方無碍光仏となづけたてまつれるなり。この如来を南無不可思議光仏とも申すなり。
この如来を方便法身とは申すなり。方便と申すは、かたちをあらはし、御なをしめして、衆生にしらしめたまふを申すなり。すなはち阿弥陀仏なり。この如来は光明なり、光明は智慧なり、智慧はひかりのかたちなり、智慧またかたちなければ不可思議光仏と申すなり。この如来、十方微塵世界にみちみちたまへるがゆゑに、無辺光仏と申す。しかれば、世親菩薩（天親）は尽十方無碍光如来となづけたてまつりたまへり。（一念多念証文）
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阿弥陀仏は「この如来は光明なり、光明は智慧なり、智慧はひかりのかたちなり、智慧またかたちなければ」とあるように、形もなく私たちの認識に乗ることは本来はありません。だから「不可思議光仏」といわれます。
そこで、「かたちをあらはし、御なをしめして、衆生にしらしめたまふ」のが、今の南無阿弥陀仏です。いまこの文章を読まれて、口にしたり、心で「南無阿弥陀仏」と称えられたところの南無阿弥陀仏は「十方微塵世界にみちみちたまへる」のです。それは「よろづの衆生をきらはず、さはりなくへだてず、みちびきたまふ」本願力のお働きです。そのお働きが私を救って下さることを聞いて疑い無いのが信心です。
