安心問答−浄土真宗の信心について−

浄土真宗の信心についての問答

宗教法人浄土真宗親鸞会(会長:高森顕徹)が新入生対象合宿でよく話にだす「人間の実相」が間違いな件(高松悟峰和上語録下巻・洗心書房から、元の話を紹介)

検索エンジンで「人間の実相」と検索すると、親鸞会公式と親鸞会講師のページしかでないため書いてみたエントリーです。
親鸞会でよく話に出てくる「人間の実相」のたとえ話(掛け軸に旅人と虎と三匹の龍が書かれているもの)は、間違いであるという件については、すでに外のブログでも詳しく書かれていますので、以下のエントリーをご覧下さい。


親鸞会の邪義を正す : 『仏説譬喩経』には”無常の虎の譬え”は説かれていない
”無常の虎”とは何?: 飛雲 ~親鸞会の邪義を通して~

※比較のため親鸞会公式より
浄土真宗 親鸞会・親鸞会館ご法話平成20年8月「人間の実相」

別にエントリーを書こうと思ったのは、先日洗心書房さんから復刊された「高松悟峰和上語録下巻」に、いわゆる「黒白二鼠の譬え」について書かれていたのを読んでとても有り難いお話と思ったからです。

以下、高松悟峰和上語録下巻より紹介します。

○人間の危機


 むかし一人の男が、大変に広い野原に迷いまして、途中で大きな猛悪な象に出逢い、象の為に追われて逃げ回りました。然るに幸いなことには一つの深い井戸を見出しましたので、木の根をたどって井戸の中に這入りまして、その木の根によりすがっておりました。するとその木が動揺いたしまして、木の上から五滴の甘い蜜がしたたって口の中に入りました。非常に甘いものですから大層喜んで食べておりましたが、よくこれを見れば、それは蜜蜂の巣から落ちていたのでありました。そこでたくさんな蜂度もが非常に憤りまして、飛び回ってその人を刺しました。そればかりでなく、井戸の底を見れば三匹の毒龍が口を開いてその人の落ちるのを待っております。また井戸の四方には、四匹の毒蛇が已にその人をさそうとしております。その中に白と黒の鼠が出まして、かわるがわる木の根をかみ始めました。そこへまた野火が起こって、その木に燃えつく、という危険極まりない状態に陥りました、というお話であります。


この譬えは賓頭盧為優陀延王説法経という経典に説かれた御譬えで、釈迦如来のお弟子の賓頭盧尊者が、優陀延という自分の父の事えておった王様の為に、説法せられた一説の物語であります。


このお話は世界でも有名なもので、私はかつて外国語にこれが翻訳せられて、新体詩風に造られたものを、また日本語に訳されたのを見たことがあります。又昔から絵に作られたものを往々見ました。


これは何の譬えであるかと言えば、広い野原というは、生死の迷いに喩えたものであります。一人の男と言うは、迷いの凡夫に喩えたものであります。猛悪な象というは、世の無常を喩えたものであります。井戸の中というは、人間境界に喩えたものであります。木の根というは、人の生命に喩えたものであります。白と黒の鼠というは、昼夜に喩えたものであります。四匹の毒蛇というは、地水火風の四大に喩えたもので、人間の肉体はこの四大で出来たものでこの四大の模様によって病に苦しむことを喩えたものであります。三匹の毒龍と言うは、三悪道に喩えたものであります。多くの蜂というは、悪覚に喩うとありまして、悪覚とは人間の心の中の貪欲や瞋恚や、また他人に対する害心に喩えたものであります。野火が起こるというは、老境に向かって年齢を取ることであります。我々凡夫はかくのごとき境遇にあって、かかる迫害を受けつつあるのであります。それにも関わらず、唯五欲の境界の蜜の甘きに耽って、後世の用意を怠ることは大変ではありませんか。かく喩えて戴いてみれば我々の楽しみは、わづか五滴の蜜の外はありません。その外のものは皆悉く恐ろしい迫害ばかりであります。

お慈悲の光明の中に抱き取られて見れば、大安心の身にさせていただくのであります。ご和讃の中にも

無明長夜の灯炬なり
 智眼くらしとかなしむな
 生死大海の船筏なり
 罪障おもしとなげかざれ

と仰せられました。信の上からは念仏相続諸共にこの世からなる大安堵の身にさせていただいて、未来はかかる大難を離れたる極楽浄土の往生を遂げさせていただくのであります。

ご覧になったように、元の話を勝手に変えて創作をするのが親鸞会です。
このエントリーを読まれた人で、親鸞会の合宿に参加された大学生の方がおられましたら、今日から親鸞会を辞めることを強くお勧めします。

追記 2012/05/08 17:39

関連エントリー
コメント欄で林遊さんより紹介された、賓頭盧為優陀延王説法経の文章・本願力回向

過去当ブログで、親鸞会の「人間の実相」に言及したもの。
高森会長の話に救われる法の話がほとんどないたった1つの理由(頂いた質問) - 安心問答(浄土真宗の信心について)