お釈迦さまが「捨てなさい」「行じなさい」「去りなさい」と勧められた書いてありましたが、私は一体どうすればいいのでしょうか？実際に何かをするのでしょうか？（頂いた質問）
浄土往生する上で、私の思うこと、言うこと、体で行うこと、いわゆる三業を用いてはならないと親鸞聖人は教行信証に書かれています。
理由は私がどんなことを行っても、虚仮雑毒の行であるからだと言われています。
もしかくのごとき安心起行をなすは、たとひ身心を苦励して日夜十二時に急に走め急に作して頭燃を灸ふがごとくするものは、すべて雑毒の善と名づく。この雑毒の行を回してかの仏の浄土に求生せんと欲するは、これかならず不可なり。（教行信証信巻・浄土真宗聖典（註釈版）Ｐ217）
雑毒の行では往生できないので、阿弥陀仏の行によって救われなさいと言われています。
なにをもつてのゆゑに、まさしくかの阿弥陀仏、因中に菩薩の行を行じたまひしとき、乃至一念一刹那も、三業の所修みなこれ真実心のうちになしたまひしに由（由の字、経なり、行なり、従なり、用なり）つてなり。おほよそ施したまふところ趣求をなす、またみな真実なり。（同上）
阿弥陀仏が法蔵菩薩であったときに、なんとか私を浄土に往生し、仏にしようと真実心をもって行をされました。それを阿弥陀仏は私に与えて下さいます。
「おほよそ施したまふところ趣求をなす、またみな真実なり。」阿弥陀仏が与えて下さる行を私は受け取ります、これはまた真実だと言われています。
確かに、阿弥陀仏が施して下さった行は真実であっても、それは阿弥陀仏の行であって、私が行った行ではありません。しかし、阿弥陀仏はその真実の行を与えて下さいます。私はそれを受け取るだけです。受け取って私にはたらいて下さる行はまた真実の行です。
だから、私の三業は用いるのではなく、捨てなさいと勧められています。
不善の三業はかならず真実心のうちに捨てたまへるを須（もち）ゐよ。またもし善の三業を起さば、かならず真実心のうちになしたまひしを須ゐて（同上）
不善の三業とは、私の三業のことです。それは往生の役に立たないので、捨てよといわれているので、それに従うということです。
もし、浄土往生したいと思うなら「かならず真実心のうちになしたまひしを須いて」といわれています。阿弥陀仏が真実心をもって成就された南無阿弥陀仏によりなさいといわれています。
自分の三業によるのではなく、阿弥陀仏の成就された南無阿弥陀仏によりなさいといわれています。私の三業をどのように組み合わせても、浄土往生の行にはなりません。
阿弥陀仏から南無阿弥陀仏を頂いただけで、私は何もしていないことに不審をもたれる方もあります。しかし、私はなにもしなくても頂いたところの南無阿弥陀仏はまた真実です。その南無阿弥陀仏が、真実であるから私は浄土往生させて頂くのです。それに何も付け加えるものはありません。
ただ今救うと呼びかけられる南無阿弥陀仏を疑い無く聞いて、ただ今救われて下さい。
